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3月
「僕の歌は君の歌」
歌・エルトン・ジョン

引き絞られた弓につがえられた矢のように。「静」から「動」へと変容するエネルギーのようなもの‥それが、冬の終わりから、若い春へと向かう息吹の中に隠れています。自然の、そうした大きなものに気づき始めるきっかけは、ぼくの場合、いつもポップ・ミュージックでした。この曲を初めて聴いたのは、1971年の冬。ぼくはまだ中学生で、ビートルズもよくわからなかった。けれども、深夜ラジオから流れた、初めて聴くイギリス人の歌に、すなおに、こころ打たれました。何も知らない思春期ならでは‥の感動だったのです。「何も知らない」からこそ、自分は「何かを知った」気になりました。翌日、坂道を下り、急いで街のレコード店に走ります。この歌は特別なのだから、そのシングル盤を、絶対に手に入れなければいけない。タイトルは「僕の歌は君の歌」でした。音楽に対するぼくの気持ちは、「静」から「動」へと変容しました。そして走って、走って、プロの音楽の世界へと飛び込みました。あれから半世紀近い時間が流れましたが、折に触れ、この曲は聴きたくなります。「何かを知った」今でも。何度も何度も。ぼくは、この歌を聴くのです。
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